大阪市立美術館にて開催中の「肉筆浮世絵展 美の饗宴」に行ってきた。日本初公開となる肉筆浮世絵作品が拝観できるとあって、なかなかの賑いぶりでした。
肉筆浮世絵とは
絵師が1枚1枚を紙などに直接手描きしている作品を肉筆浮世絵と呼びます。版画で大量生産される浮世絵版画とは違い、全ての作品が一点ものとなり、大変貴重な絵画ばかり。今回の展示作品は、全て日本美術収集家ロジャー・ウェストンさんの個人所蔵の浮世絵。数千点に及ぶ所蔵品から厳選された約130作品が展示されています。
超絶技巧
まず驚くのが、画の精密さ。特に着物の文様や柄の細やかさには驚きます。「えっ、これイラストレーター使ってんじゃないの？ｗ」って思うぐらい凄い。髪の毛の生え際なんかも、丁寧に髪の毛1本1本まで描かれている。
着物から足が透けて見える描き方や、大広間での遠近法、1枚の絵の中での余白の取り方など素人のわたしが見ても素晴らしい。まさに超絶技巧。うーん、これ本当にレイヤーとか使ってないんですか？凄すぎです。
掛け軸も素晴らしい
浮世絵が描かれている掛け軸もポイント。浮世絵の周りを囲む柄も相当凝った作りのものがあり、絵だけでなく全体で一つの作品となっている感じ。
当時の最先端ファッション
作品は時代の流れにそって展示されているので、女性の髪型や着物、化粧など女性ファッションの移り変わりも楽しめます。また絵師によっての画法の違い、顔の描き方の違いも大変興味深いポイントのひとつ。特に顔立ちは、細く描かれていた眉毛や目が、近世に近づくにつれ太くしっかりと描かれ現代風の顔つきに描かれる。
クールジャパンの先駆者を約30cmの距離で見れる
日本人って昔から絵が上手くて、女の子を描くのが大好きだったんだな、と改めて思った。
浮世絵は当時、海外にわたってジャポニズムブームを巻き起こしゴッホなどに多大な影響を与える。現在の日本アニメがクールジャパンと呼ばれ、海外で高い評価を受けているのも、この日本人のDNAがしっかりと受け継がれているからなのでしょうか。
絵師たちの凄技がつまった浮世絵を、薄型の陳列ケース、薄型で面発光の有機EL照明、反射が少ないアクリルパネルなど日本の最先端技術を利用した近未来展示により、わずか30cmの至近距離で鑑賞できるのも魅力。こんな機会は、ひょっとしたら今回が最初で最後かもしれない。日本が誇るポップアート浮世絵。ぜひ見ておくべし。
肉筆浮世絵 美の競艶 シカゴウエストンコレクション
http://weston.exhn.jp/index.html
大阪展
会期 2015年4月14（火）～6月21日（日）
開館時間 午前9時30分～午後5時（入館は午後４時30分まで）
休館日 毎週月曜日（ただし、5月4日開館、5月7日は休館）
会場 大阪市立美術館（大阪府大阪市天王寺区茶臼山町1-82 天王寺公園内）
長野展
会期 2015年7月11（土）～10月13日（火）
開館時間 7月11日～8月31日は、午前9時～午後6時（入館は午後5時30分まで）
9月1日～10月13日は、午前9時～午後5時30分（入館は午後5時まで）
休館日 展示替えによる休館あり。詳細はお問い合わせください。
会場 北斎館（長野県上高井郡小布施町大字小布施485）
東京展
会期 2015年11月20（金）～2016年1月17日（日）
開館時間 午前10時～午後5時（金曜日は午後8時まで）
休館日 毎週月曜日（ただし11月23日、1月11日は開館）
会場 上野の森美術館（東京都台東区上野公園1-2）
